ゲームボーイの液晶修理
(液晶ディスプレーのライン抜け修理)

ゲームボーイなどのLCDを過酷な条件で長期間使用しているとライン抜けを起こす事があります。
TFT液晶などのドット抜けはトランジスタの故障で修理は出来ませんが、ライン抜けはガラス基板の導電パターンと金属ケーブル(フラットケーブル)の接続が剥がれが主な原因なので修理する事が出来る場合があります。

まず、修理の仕方の前に液晶の端子部分の構造とガラスに金属を接続する方法を簡単に説明します。

LCDはガラス基板で出来ていますが、ガラスは電気を流しません、そこでガラスに透明な導電皮膜を使ってプリントパターンの様に回路が作られています。
そして、その回路に信号を入力させる為にLCDの端面に導電皮膜が露出しています。

この端面に露出した導電皮膜に映像回路からの信号を送ってくるケーブルを接続するのですが、このケーブルは金属(銅)で出来ています。
金属は半田付けで付きますが、ガラスには半田が付きませんね。

そこで、ゲームボーイのLCDの場合、「異方性導電接着剤」と云う特殊な接着剤で接続されています。
その他の方法では、腕時計のLCDなどは、「ゼブラゴム」を利用しています。
他にも特殊な接続方法がありますが、民生機には使われないので省略します。

この異方性導電接着剤と云うのは、エポキシなどの電気の流れない接着剤に粒度の揃った金属ビーズを適量まぜて作られています。

イメージとしては、粘土の中に適量(容積比で50%位)のパチンコ玉を混ぜたものをイメージしてください。

図の様な回路を組んだ二枚の鉄板を粘土の塊に触れさせても、粘土にパチンコ球が覆われていて電気が流れる事はありません。

しかし、粘土を挟んだ二枚の鉄板を力一杯押し付けると、鉄板の間に一個のパチンコ球がくっつき電気が流れ始めます。
しかも、鉄板を上下二枚ずつにして挟んでも上下二枚の鉄板は接続されても左右二枚の鉄板は圧縮していないので電気は流れません。

だから、ビーズの大きさをしっかり検討すれば、非常に細いパターンのフラットケーブルでもピン間の絶縁を保ったまま、ガラス基板の対応するパターンにのみ電気的接続が出来るのです。

そして、この異方性導電接着剤のベースに使われる樹脂(接着剤)には、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方があり、ゲームボーイには熱可塑性樹脂が使用されています。

熱可塑性樹脂とは、PPやPE、アクリル等ごく一般的にプラスチックと云われる樹脂で、熱を加えると柔らかくなります。
そうですね...ホットボンドと似た接着剤と思ってください。
(でも、異方性導電接着剤をホットボンドから作ることは出来ないと思います)

ついでに説明すると、ゼブラゴムとは導電ゴムと普通のゴムをシマウマ(ゼブラ)の縞の様に重ねて作られたゴムです。
詳しくは「ゼブラゴム」で検索してみてください。
こちらは、アルコールかごく薄めた中性洗剤で拭いてあげると復活する事があります。

◆ ゲームボーイ液晶ディスプレーのライン抜け修理の実際

初め、ホットプレスと、異方性導電接着剤が無いと修理できないと思っていましたが、熱可塑性タイプで有れば、ホットプレスを当てるだけで復活する事に気付きました。
問題はホットプレスですが、どうせダメ元なので、銅板と半田ごてで何とかなると思い試してみました。

  ライン抜けのLCD
ゴミ箱に捨てた銅片をあさり丁度良い大きさの物を探し適当な形に曲げました。

出鱈目な形に見えますが、放熱と加熱、プレス面積、プレス圧を考えています。
プレス面は4×10mm 位です。 
面積が大き過ぎると充分な圧力が掛かりません。

画像には写っていませんが、銅板を押し当てている所の下にはゴムシートを台として入れています。

抜けているラインを接続する部分あたりに銅片を当てて、ピンセットでガラスが割れない程度の力で押し付けます。

両手が塞がるので画像無しですが、このピンセットの間に半田ごてを10秒位押し当てて熱を加え、その後冷めるまで力を加え続けます。

仮組みして、ライン抜けが直っているかを確かめます。

まだ抜けている場所が有れば同じ事を繰り返します。

綺麗にライン抜けが直りました。

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